2006年 08月 26日
医療の質という言葉をよく耳にしますが、そもそも定義は何なのでしょうか。英語の"Quality of Care"にはいくつかの定義がありますが、最も有名なのはLohrによるもので、日本語に訳すと、「個人・住民に対する医療サービスがいかに求められる健康を達成する可能性を増加させ、またいかにそのサービスが現行の専門的知識に一致しているかという程度」ということです。
医療の質を評価することは、大きく2つの意義があります。ひとつは医療機関を選ぶ人(患者、紹介医、保険会社など)に適切な情報を提供すること、もうひとつは医療の質を改善すること。 その質を測る際の対象として、構造・過程・結果の3つがあります。病院に当てはめると、構造とは、その病院の設備や医療スタッフの充実度、アクセスなどであり、過程とは、そこで行われている治療の妥当性・安全性、技術の高さ、治療を進める上での患者と医療スタッフ間のコミュニケーションなどであり、3つめの結果には、生存率や合併症率、QOL(生活の質)などの医学的結果、患者満足度、コストなどが含まれます。 最近流行りの医療機関評価などでは、構造と結果を対象にしたものばかりで、過程を対象にしたものはほとんどありません。結果よければOKというのは、大まか正しいかもしれませんが、結果だけの評価では、結果に影響しないような不適切な医療行為などが反映されません。例えば、肺炎の患者を正確な診断のもと適切な抗生剤で治療して治癒したケースと、なぜか肺水腫と誤診して、念のために投与した抗生剤が効いたケースの評価が同じになってしまうわけです。(厳密に言うと、コスト評価をすれば差が出ますが、、) さらに、結果だけの評価は質の向上に直接つながりません。死亡率が高い、では死亡率を下げよう、どうやって? 一方、過程の評価では、各過程ごとに根拠のあるスタンダードを設けて、それに順じた治療を行ったかを評価していく必要がありますが、すべての医療行為にスタンダードがあるわけではなく、評価自体に大きなコストがかかるなどの欠点があります。 ブログ病院では、自分達の提供する医療の質を公平かつ正確に評価する方法を考えていきたいと思います。 た
by blogbyoin
| 2006-08-26 05:45
| 患者サービス
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