2006年 09月 24日
そもそも診療報酬の総額は医療に関わりの薄い方々がお決めになっているようです。(診療報酬の分配はまた別の機会にするとします。)
結論から言うと、診療報酬の引き下げは、「医療費増加の原因」と「医療費増加に伴う価値」を考慮することなく、ただ医療価格を下げる、というかなり偏った政策であると思われます。 医療費増加の原因としては、医療の高度化・高齢化・無駄の増加などが挙げられます。 医療の高度化そのものを抑制して、コストを下げることができるでしょうか? 例えば、臓器移植、ロボット手術、PETスキャン、最新抗がん剤などの臨床応用禁止、、というのはちょっとありえない話です。 では、高齢化を抑制して、コストを下げるのはどうでしょうか? 高齢者の医療を放棄して平均寿命を下げる、、というのもありえないでしょう。(超高齢者の治療適応を制限するなどというオプションはありますが、それはまた別の機会で) となると、やはり無駄を減らすのが必要だということになります。 無駄を減らすとは、、節水するとか紙の使用量を減らすというレベルからいろいろありますが、医療における最も大きな無駄は、大した効果もないのに、効果があるというふれこみで登場する、とても高価なモノたちです。薬を例に挙げると、新薬はプラセボとの比較試験で効果がある(+副作用がない)と認可されるので、既存薬よりも優れているとは限りません。そのくせ新しいので高いということになります。こういう無駄な薬を認可しないあるいは使用しないというのが大きな無駄削減につながります。また既存薬に関しても、安価なジェネリック(特許が切れたあとに出てくるコピー薬)があるのに高い薬を使い続けるのは無駄です。(厚生労働省のジェネリック推進運動も効果はいまいちのようです。)もちろん薬以外にも国単位で取り組むべき多くの無駄が存在します。 さらに視点を変えて、医療費増加によって生まれる価値を高めるという方法もあります。医療費増加(正確にはその原因となる因子)によって生まれる価値には平均寿命の延長、QOLの延長、雇用などが挙げられますが、これらに生産性を付加することが大切だと思います。高齢者や慢性疾患を持つ人々がその能力を活かしてより生産的な生活を送れるようなしくみがあれば、医療費とそれが生み出す価値のバランスが取れるはずです(おつりがくるはず)。。こういう視点でビジネスを起こす人がいればおもしろいと思います。 とにかく、近年の一方的な医療費削減は医療者のモチベーションをくじいているように思います。 と言っても、私はその専門でも何でもないので、ご批判・ご意見等よろしくお願いします。 た
by blogbyoin
| 2006-09-24 06:01
| 医療制度
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