2006年 10月 27日
研修医の頃、上の先生から愚痴のようによく聞かされたセリフ、、
「いやあ、日本では、教授がやっても研修医がやっても、手術の値段は同じだからなあ。(やる気でないよなあ。)」 当時はもっともだと思いましたが、今となっては、「教授がやっても研修医がやっても成績が変わらなければそれでいいんじゃないの」と思います。 「(教授指導のもと)研修医がやって、教授がやるより成績が悪いとしたら、その教授は研修医の実力評価が甘い(実力以上の手術させすぎ)、または単なる教えベタということだな」とも思います。 それはさておき、今日の話題は、"ドクターフィー (doctor fee)"について。 現在日本の診療報酬システムでは、全ての報酬が病院に払われますが、これは医師に直接支払われる報酬のことです。アメリカでは保険会社との交渉などでその額が決まります。 日本で導入するとすれば、恐らく医師の経験や手技の難易度などに基づいて国が決めるということになるのでしょう。(ちなみに、現在医師に直接支払う制度の導入予定はないそうです。) 例えば外科医なら、1回手術することの報酬が、その手術の難易度や外科医が卒後何年とか位が何だとか経験症例数などを元に決められるのでしょうか。(医療の質の話ではないので、この基準については深入りしませんが、これらは全ていまいちな基準の例です。) これって、どうなのでしょう? いろいろな意見があると思いますが、個人的にはその意義と効果に疑問を感じます。 というのは、現代の先端医療はすべてチームの総力戦であるからです。 それを、一個人だけに保険機関が直接報酬を与えるのは全く理不尽です。その個人(例えば外科医)が、チームメンバーの構成に責任を持ち、各メンバーの貢献を評価して、その報酬を再配分するなら別ですが、そんな能力を持った外科医はほとんどおりません。 それよりも、現在のシステムのように、病院が外科医を含む各チームメンバーの貢献を評価して、報酬を配分するほうがよっぽど合理的だと思います。病院経営者はその能力を持っていることが必須です。非常に当たり前のことですが、そうでない病院経営者が多いことも、医療スタッフの不満をつのらせる一因かと思われます。 上の愚痴は、 「日本では、診療チームの総力が高くても低くても、手術の値段は同じだからなあ。」と言うべきでしょう。 ただ、質が評価されない報酬体系ではモチベーションが上がらない、という点では同じです。 もちろん、ドクターフィーに賛成、あるいは条件付で賛成というご意見もあるかと思います。 ぜひ、みなさんのご意見を伺わせてください。 た
by blogbyoin
| 2006-10-27 03:12
| 医療制度
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