2006年 11月 01日
実際、産科や小児科では人手不足を理由に集約化が必然的に行われていますが、まだ全体として戦略的な集約化が進んでいる段階ではないようです。 集約化の利点としては、医療の質向上、コスト削減、リスクマネジメントの効率化(2次的に医療過誤の減少など)、研修・教育の効率化などが考えられます。欠点としては、アクセスの低下や雇用の減少があります。これらのバランスを考えて最適な環境を作る必要があります。(当然ですが、これは単純な足し算引き算ではなく、各因子に地域ごとに重みをつけた計算になります。) たとえば、となり同士のA町とB町にそれぞれ町立病院があり、それぞれが人手不足や経営難をかかえているとします。 それぞれが人手確保・経営改善の努力をするよりも、A町の病院を閉鎖して、B町病院に資源を集中して、それまでA町病院が垂れ流していた赤字分でA町とB町病院に無料シャトルバスを走らせる方が、全体としての利益が大きい場合もあります。A町病院に採算の取れる科のみを残したり、処方専門の診療所や老人介護施設にすることも考えられます。 このような最適化をさらに広い範囲で考えていくことが必要です。この範囲はいわゆる医療圏(注参照)と言われるものですが、この区分は都道府県の垣根を除いて柔軟に決めるのがよいと思います。(地形や交通インフラを考慮したうえで、県境の地域を隣の都道府県の医療圏に入れたりする。)現状のシステムでは非常に難しそうですが。。。 医師不足と言われますが、実際は医師不均衡や無駄によるところが大きいようにも感じます。集約化は無駄を減らすことで、この問題解決にも貢献すると思われます。また、医療資源が不足していない分野でも、メリットの方が大きい場合は集約化を進めるべきでしょう。 た (注)医療圏とは、病院の病床整備を図るべき地域的単位として区分する区域のこと。第1次は基本的には市町村。第2次は、いくつかの市町村がいっしょになった日常生活圏ごとの区域。第3次は基本的に都道府県。
by blogbyoin
| 2006-11-01 11:41
| 医療制度
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