2006年 11月 30日
研究論文を書く時に少なからず気を使うのが"Authorship"です。つまり、誰の名前をどの順番で著者として載せるか。
アカデミックな世界では、authorshipは通貨のようなものとも言えます。 それでもって何かを得ることができたり、それを得るために何かをしなくてはいけなかったり。。 原則では、何番目であれ著者として名前が載る人は、研究の構想から論文の校正まですべてに関わってなくてはいけません。(法律ではありませんが、、) しかし、実際は、、 「お世話になったあの先生を載せておこう。」 「まああの人も載せとかないと、あとでネチネチ言われるしな。」 「こないだ載せてもらったから、お返しに載せておこう。」 ということは国を問わず、日常茶飯事です。 時には、学位をもらうために全く関わっていない教授の名前を載せるようなこともあります。 最も重要なのは、"First author"(一番目にリストされる著者)です。通常は、その研究を計画実行した人が、自分で論文を書いて、first authorになります。ですが、パワーバランスにより、他の人に取られることもあります。 そして、同じくらい重要なのが、"Last author"(最後にリストされる著者)です。通常は、その研究をあらゆる方面(学術的、経済的、政治的、、)で総監督した人、つまりラボのボスや教授クラスの人がlast authorになります。一流施設で教授になるには、指導力を問うという意味で、first authorだけでなく、last authorとしての論文が複数必要になることも多いようです。また、論文を読む人は、last authorを見て、「ああ、あの人のところの研究か」と分かるわけで、非常に重要な位置づけです。 そして、大きく離れて次に重要なのが、"Second author"(2番目にリストされる著者)です。通常は、first authorの身近で最も手助けした人がsecond authorになります。ただ、昇進にはあまり影響しないようです。 そして、さらに大きく離れて残りの著者たち。ランクはどれも同じですが、前であるほうが微妙にいいという意識もあるようです。(あくまでも、authorshipのランクを言っているのであって、必ずしも論文への貢献度が低いというわけではありません。) 昇進には全く影響しませんが、いちおう履歴書に載せたりすることができるので、載せてもらって悪い気がする人はいません。 さらに"corresponding author"というのがあり、これはいわゆる責任者のようなもので、通常はfirstかlast authorが兼任します。 ただ名前が並んでいるだけですが、その順番を間違えると、人生そのものを間違ってしまうこともあり得ます。というわけで、このauthorshipには多くの政治的意図がからむことになり、みなさんとても悩まれるわけです。 ところで、以前から不思議に思っていたのですが、日本の教授とか部長(とくに外科系)が、よく"last author"ではなく"second author"になってるのはなぜでしょうか?? 勘違いしてるのか、日本独自のルールがあるのかは知りませんが、世界標準から見るとかなり変です。 理由をご存知の方がいれば、ぜひ教えてください。 た
by blogbyoin
| 2006-11-30 12:53
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