2007年 08月 19日
このたび、ブログ病院職員の多くが卒業とともに現場復帰しました。現場での多忙のため、ブログ病院は一時休院することが予想されます。
ただ、今回のブログ病院での貴重な体験をさらに継続したいと言う希望から、ブログ病院セントルイスを新たに開院しました。 ブログ病院セントルイスでは、より医療と法律との関係に重点を置いたディスカッションを展開したいと考えています。 興味のある方はwww.medicinelounge.com/blog までお越し下さい。また、ウェブサイトも開設しましたので、www.medicinelounge.com までお尋ね下さい。 皆様からの更なるコメント・フィードバックを心よりお待ちしております。 か #
by blogbyoin
| 2007-08-19 15:02
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2007年 06月 10日
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by blogbyoin
| 2007-06-10 11:15
| お知らせ
2007年 04月 15日
JAMAに掲載されたPorter氏の論文についての続きです。
「患者の利益に基づく医療」を医師レベルから始めると、周りが追随するだろうと書かれています。 「患者は、より治療プロセスに関与を深めて、健康に対する自己責任を自覚するようになる。」 診療が分断化されている現状より、病態の診療をはじめから終わりまでまとめることで、患者がより自分の健康や治療を意識するようになり、責任ある行動(具体的には禁煙したり、薬をきちんと飲んだり)を取るようになるとのことです。(ついでに、患者に専門家レベルの知識を要求するよりもよっぽどよいと、consumer-driven healthcareをチクリとしています。) ちょっと因果関係の記述が曖昧ですが、医師が診療の(一部でなく)フルサイクルを意識しない限り、患者がそれを意識することがないというのは事実でしょう。 「保険会社や政府は、診療への介入を少なくして、より効率のよい保険システムを作り、質の高い医療にはより高い報酬を支払うようになるだろう。」 診療報酬の支払い方法などの細かい点は置いておくことにして、これはつまり、医師が自ら進んで効率的で質の高い医療を行えば、支払い者のコスト削減にもなることからも、またその成果に対する純粋な報酬という観点からも、自然と医療への報酬が上がる、ということなのだと思います。 しかし、これって、日本のシステムでも自然に起こるのでしょうか。。大きな疑問です。 たとえば、日本の医師が努力して、無駄をなくして、医療の質を上げたとしても、それが当然のように捕らえられ、コスト削減の分は医療費が削られ、さらなる向上を要求されるのでは。。 日本の医療を取り巻く環境には、自然に起こるべきことが自然に起こるとは思わせない何かがあります。つまり、医療を良くしたいという医師に、多大な時間と労力を使って、それを推し進めていこうと動機付ける雰囲気がない、ということです。 思わず暗い結論になってしまいそうですが、医療制度改革を医師が主導することに大きな意義があり、医師はそのための多様な視点とスキルを身につけるべきだと思います。ただし、成果が報われるという自然の成り行きが保証されないと、動き出す人はいないかもしれません。 た #
by blogbyoin
| 2007-04-15 12:51
| 医療制度
2007年 04月 14日
JAMAに掲載されたPorter氏の論文についての続きです。
「患者の利益に基づく医療理念」とともに必要なものとして、2つのことが挙げられています。 ①診療組織を病態や治療サイクルに沿ってオーガナイズすること。 ②リスク調整成績とコストを測ること。 ①に関しては、以前書いた「科の合併」という記事と共通するところがあります。ぜひご参照ください。 このような組織再編は、医師によって主導され、「患者の利益を改善させる」という動機のもとに行われた場合に、もっともその効果を発揮するだろうとのことです。その点については賛成です。というより、組織再編は医師の壮絶な意識改革を必要とするので、医師以外が行ってもうまく行く可能性は極めて低いと思われます。 付け加えると、実際には、複雑な病態を持つ患者が増えているため、組織を再編しても、各組織の横の連携は必須です。組織再編は効率性や質をあげるために必須ですが、もっと大事なのはコミュニケーションが円滑に行われやすい環境を作ることなのでしょう。実際は、そんな環境づくりが得意な医師はいないので、医師の意識改革を原動力として、専門家の助けを借りて進めるということですね。。 ②は、いわゆる医療の質評価のことです。Porter氏は、現在質評価の主流となっているプロセス評価を否定して、アウトカムとコスト評価を提言しています。(何のこっちゃという人は、「患者サービス」カテゴリの医療の質シリーズを参考にしてください。) アウトカム評価については、リスク調整を含めて指標作りが難しい部分ですが、それができるのは、専門家である医師だけです。各疾患の専門家集団が、自分たちの仕事の質評価が重要であると認識して、公正で効果的な指標作りに取り組むべきでしょう。 論文には、pay-for-performanceの話もでていますが、アウトカムデータベースもない日本にはまだ早い話かもしれません。 まとめると、「医師が、患者の利益を第1に考えるという医療の原点に戻って、合理的で効率的な形に組織を再編して、医療の質評価を主導するべし。そうすれば、周りがついてくる。」ということのようです。最後の、周りがついてくる、という点については、次回コメントを補足したいと思います。 つづく た #
by blogbyoin
| 2007-04-14 13:05
| 医療制度
2007年 04月 14日
How Physicians Can Change the Future of Health Care
JAMA(3月14日号)に掲載されたHarvard Business SchoolのMichael Porter教授の論文です。有名な著書"Redefining Health Care"において、彼は「患者の利益に基づく医療」を唱えましたが、それは医師によってリードされるべきだというのがこの論文の趣旨です。 「患者の利益に基づく医療」って当たり前のようですが、現実にはそれが何かほかのものによって歪められていることが少なくないのです。医師レベルでそれが起こっている例を挙げると、、 「多くの医師は、同じことをばかりしていると退屈してしまうので、仕事を多様にしようとする。たとえば、ふだん成人ばかりを扱っているある麻酔科医が、麻酔のやり方がまったく異なっていて興味をそそる小児の麻酔をたまにするというように。」(本文より引用) なるほど、たしかに患者の利益が歪められています。たまにやっても、小児麻酔を専門にやっている麻酔科医にはかなわないですから。。私が医学生のころ、肝臓専門のある外科医が「いやあ、たまには胃の手術とかもやってみたいよ。。」と呟いていたのを聞いて、当時は「なるほど、その気持ちはわかる」と思いましたが、肝臓専門の医師に胃の治療をされる患者のメリットはまったくないですね。。 「医師の組織は臓器別の縦割りで、まとまりがなく、時には内科・外科でそれぞれの治療方針を主張して対立したりしている。」 なるほど、これも歪められています。患者の利益を第1に考えると、患者中心に各医師がバイアスをなくして、協調するべきです。同じような病態の人が、内科と外科で異なる治療を受けるというのも、理にかないません。 さらにこれは病院レベルとも言えますが、 「再診料や処方料をかせぐために、安定していても頻繁に受診させる。」 pay-for-serviceの日本にはよくある話です。地方の病院で働いていたころ、1ヶ月以上分の処方は出すなという偉い人からのお達しがありました。ついでに、簡単な手術でも、術前に全身スクリーニングするようにというのもありました。診療報酬をかせぐためですが、「念のため」という呪文によって正当化されていました。。 このような歪みは、医師のレベルだけでなく、病院・学会・医師会・保険者・審査支払機関・政府などすべてのレベルにおいて存在します。これらの呪縛から逃れて、純粋な「患者の利益に基づく医療」というのが、Porter氏の基本理念なのです。 これを医師レベルから始めるべきだというのは、一人の医師としてはとても共感できます。 そうすることが、医師がこの先、特別なプロフェッショナルであり続けることの、唯一残された道であるようにも思えます。 つづく た 追記:Porter氏の直弟子である「や」さん、何か訂正とか補足があればお願いします。 #
by blogbyoin
| 2007-04-14 11:22
| 医療制度
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