2006年 10月 19日
ある疾患について、公平な質評価の指標が確立されたとしましょう。
次は何が必要でしょうか。 おそらく、関係する全ての病院を評価することだと思います。 質評価の対象が一部の病院では、結局患者や紹介医は、どこがベストな病院なのか知ることができず、あまり意味がありません。また、正確なリスク調整もできません。 質評価に必要なデータの提供は、日本全国の病院に対して義務化する必要があると思います。 データ収集100%を目指す手段として、 1.全病院のカルテを電子化して、自動的にデータを収集する。 2.法律で100%提供を義務付ける。 3.質評価に参加しない病院の診療報酬を下げる、または保険指定を外す。 4.「質評価に参加していない病院はよくない病院だ」という認識を広める。(み○もんたに協力依頼) など、思いつくものを挙げてみました。 さらに、提供されたデータの正確性や完全性についてもチェックする必要があります。 データ収集100%がもたらす利益について、代表的な例を紹介します。 結果のデータベースが最も進んでいる臨床分野は心臓外科です。アメリカにはThe Society of Thoracic Surgeons (STS)という学会組織が運営する全国データベースがあり、手術症例の術前リスク、術式、術後経過などを中心に詳細なデータが収集されています。年々参加施設は増えていますが、強制力を持たないため全ての病院をカバーするには至っていません。 ニューヨーク州やマサチューセッツ州などでは、すべての心臓外科を持つ病院にデータ提供が義務化されており、データベースは州政府により管理されています。ニューヨーク州はこれを1989年に他州に先駆けて確立し、1989年には4.17%であった冠動脈バイパス手術のリスク調整死亡率が、1992年には2.75%(41%減)に大きく改善しました(文献はこちら)。 同時期にここまでの改善は他州や他国には見られなかったので、データベースの貢献が大きいと考えられます。 なお、ニューヨーク州が毎年公表するデータには、病院の成績だけでなく、外科医ごとの成績も示されています。 日本の心臓外科データベースも数年前に発足しましたが、参加率はまだまだ低いようです。今後の発展が期待されます。 た
by blogbyoin
| 2006-10-19 13:17
| 患者サービス
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