1 2007年 02月 23日
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by blogbyoin
| 2007-02-23 10:47
| お知らせ
2007年 02月 15日
ご存知のように、アメリカでは医者が処方してよい薬や医療機器はFDAによって規制されています。FDAが安全かつ有効であると認可した薬のみが市場に出てくるのです。
例えば、製薬会社Aが糖尿病の薬Xを開発したとします。 動物実験などでその可能性が示唆されたら、製薬会社AはFDAからINDと呼ばれる、人体実験(治験)をする許可を貰います。 無事INDが下りたら、AはまずPhaseIと呼ばれる、極少数の被験者(数十人)に対しての治験をします。目的はXの安全性を確認することです。Xを1mg投与したとき、5mg投与したとき、1週間後、1ヶ月後など、どのくらいの量まで安全か、などを調べます。 上手くいったら、次にPhaseIIと呼ばれる、より多数の人数(数百人)に対しての治験を行います。ここでは、Xの安全性を更に確認します。また、Xの有効性についても調査します。 上手くXの安全性および有効性が確認できたら、今度はPhaseIIIとよばれる、大規模(数千人)な治験をします。ここでは、最終的に薬を認可するにあたり、その安全性及び有効性を確実に捉えることを目的としています。無事にPhaseIIIをパスしたX飲みに対して、NDAと呼ばれる新薬としての認可がおり、AはXを市場に出してよいことになるのです。 当然、Xに認可が下りるのは、Xを糖尿病について使用することに対してです(上記の治験も糖尿病について行なわれています)。そのため、Aは、薬のラベル(説明書)には「糖尿病の薬として認可」と明記しなくてはなりません。 ところが、法律上、一旦市場に登場した薬は、その認可された理由がどうであれ、医者は自由に使って良いことになっています。上記の例でいうと、もともと「糖尿病に対して使用するから」ということで認可されてXでも、医者は他の目的(例えば癌の治療など)に使っても良いのです。このような薬の使い方をOff-Label Use (以下「OLU」)。 このOLUが、最近マスコミや議会の非難の的になっています。 そもそも、製薬会社は、認可された薬を、認可された使用方法以外の使うような宣伝をしてはいけません。例えば、Xの広告で、「癌にも効きます」とは、たとえ多少のエビデンスがあっても、言ってはいけないのです。犯罪になります。「Xは糖尿病の薬です」としか宣伝してはいけないのです。 ただ、医者が他の医者に対して、「Xは癌にも効くらしい」と宣伝するのには何の問題もありません。そこで、薬会社Aはこれを利用して、そういったXに好意的な医者たちを様々なイベントに招待し、Xについての宣伝をして貰う訳です。Aからすれば、Xの売り上げを伸ばすためには相当な効果があります。 問題は、近年、製薬会社は相当のお金をつぎ込む一方、最早、賄賂とまでいえるような、えげつないマーケティング作戦にまで出ているということです。いい加減なデータを盾に医者を説得し、その医者を使って更に多くの医者を見方につける、といったようなことはざらだそうです。 ただ、このOLU、悪い面ばかりではありません。実際問題、薬をFDAに認可された方法でのみしか使えなくなったら医療は崩壊します。というのは、現在、巷にある薬の50%がOLUとして処方されているからです。 これは、いくら医学が発展したとはいえ、まだまだ分らないことが多いからだと考えられます。つまり、大半の薬は、それなりのデータはあるけど、FDAの認可が下りるほど充分な臨床試験はしていない、というものなのです。臨床試験をしていないのも、「莫大なお金がかかる」「被験者が集まらない」など、いろいろな理由で「出来ない」ということが殆どです。「限られた知識やデータで、最高の医療を」となると、OLUは必要不可欠なのです。 とはいえ、今日もフロリダや南カリフォルニアといった暖かなところで、薬会社Aは学会を開いています。その学会では、Aから50万円貰っている大御所の医者が、眉唾なデータをもとに、糖尿病の薬Xを「癌に効きます」と発表してるわけです。それを聞いた若い医者が、明日、Xを使って癌患者を殺してしまうかもしれません。 Off-Label Use。難しい問題ですが、皆さんはどうお考えでしょう? ーか ▲
by blogbyoin
| 2007-02-15 01:03
| 臨床
2007年 02月 13日
まだ外の気温は零下だというのに、巷では早くも春のファッションが登場しました!
医者のファッションにも春到来!今年は「出来る白」をテーマにドクター気分!タイトルもずばり、「清潔感も華もある!」春の働くお医者さん! やはり、お医者さんといえば白衣!ダブルブレストやシングルブレストなどいろいろありますが、今年の春はやはりベーシックにシングルブレストがねらい目です。丈は膝上が春らしい軽快さをアピールします。「まだ冬」から「もう春」ファッション! けど、全体がベーシックなだけに、「実は」なディテールにも惹かれます。春ボタンは通常のプラスチックのものではなく、紐の結び目をこらしたものに太鼓判! ドクターの場合、個人差をつけるのはやはり胸元のトライアングル・ゾーンです。春ネクタイと春シャツのコンビネーションは、「清潔感」と「男らしさ」のバランスを考えましょう。そういうときに、やはり参考になるのは40代新鋭教授のスタイリング。ちょっとした努力で外見だけでもプロフェッサーを目指せ! また、都内の病院関係者100人に聞いたドクター・ファッションの注目アイテムはやはり靴!今年の春は「一目ぼれ指数」で選びましょう。聴診器の色とあわせる「王道配色」もマスターしたいですね。 今年の春ファッションは怒涛のトータル・コーディネイト! ちなみに、医者ファッションと患者さんの予後についてのEBMはこちら! http://www.mja.com.au/public/issues/177_11_021202/nai10445_fm.html 「ここが違う」お医者さんはエビデンスにも注目! ーが ▲
by blogbyoin
| 2007-02-13 12:25
| 広報・デザイン
2007年 02月 05日
日本でも問題になった抗がん剤にイレッサというものがあります。
これは、末期肺癌への治療薬として期待され、特にアジア人や女性によく効くということで、日本でも2002年7月に認可された薬です。 確かに、一般に原因となる遺伝子などが見つかっている癌の場合は、そのターゲットとなる遺伝子に向けた治療が比較的よく効くと言われています。実際、白血病の中でも、フィラデルフィア染色体の異常によるものなど、原因遺伝子が分っているものは、そこをやっつければ良いので治療も上手くいくことが多いというのは何となく理屈が通っているように見えます。 イレッサも、当初はEFGRという部分の遺伝子異常による肺癌の場合は、そこをターゲットにすれば良い、ということで開発された薬で、理論上は上手くいくように見えました。ただ、実際には間質性肺炎や肝障害といった副作用で亡くなる例もみられ、2006年9月の時点で、600人以上の患者さんが副作用のために亡くなったそうです。 一方、理論上も、EFGRの異常はどんどんと進化してしまうため、癌の方でも耐性が出来てしまい、イレッサも直ぐ効かなくなってしまうという弱点も見えてきました。 結局、現在では、イレッサを投与されたことで死を早めた、と国や医療側を相手取り、患者団体が訴訟なども起こしております。 長くなりましたが、このように、新薬には、必ずといって良いほど副作用がつき物で、多少の効果が初期の研究段階で見つかったからといって、やみくもに飛びつくものではありません。 ただ、その一方で、末期の患者さんなどでは、リスクは自分の責任で負うから、少しでも望みのある薬はトライしたい、という人も多いでしょう。 以前では、このような場合、(少なくともアメリカでは)治験に参加するしかありませんでした。最近では、FDAが、Compassionate Use という、極限られた、致死的な疾患の場合には、例外的に、特定の認可前の薬でも服用させてもよいとしました。 一方、そのFDAの新しいルールが出る前に、米国では、Abigail Alliance v. Eschenbach という訴訟が起こり、果たして患者には新薬を服用する権利があるのか、という問題が現在でも審理されています。 確かに、クルーザンや昨年のテリー・シャイヴォのケースでは、末期患者は治療を拒否する権利がある、とされました。また、妊婦さんには、中絶をする権利も(条件つきですが)あるとされています。 では、まだFDA(または厚生省)に認可されていない薬を、自分のリスクで服用する権利、というのは患者さんにあるのでしょうか? 皆さんはどうお考えでしょう? ーか ▲
by blogbyoin
| 2007-02-05 06:57
| 研究開発
2007年 02月 03日
4 more heart transplant programs may lose U.S. funds
全米236の心臓・肝臓・肺移植を行っている医療施設の5分の1で、生存率がスタンダードを下回る、あるいは非常に手術件数が少ないという調査結果が明らかになりました。それを受けて、アメリカ政府系医療保険機関であるMedicare, Medicaidは、4つの移植プログラムを保険適用から外すと発表しました。 執行されると、これらの病院では、Medicare, Medicaid患者の移植手術ができなくなりますし、他の保険会社も同様の動きにでることになるでしょう。ただし、執行猶予があって、スタンダードを保てなかった原因を明らかにして、しっかりした改善策を立てれば、執行免除になるようです。 手術件数は、必ずしも成績と相関するとは限りませんが(相関するというデータはありますが、常に当てはまるとは言えません)、移植などの特殊医療(日常的でない医療)については、コスト面から言っても、手術件数で線引きするのは合理的です。 また別の注目すべき点は、この決定の元になったのが、新聞社の調査である点です。この調査の詳細については知りませんが、学術雑誌にも掲載された質の高い調査であったようです。 た ▲
by blogbyoin
| 2007-02-03 08:30
| 医療制度
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